カテゴリ:詩( 39 )

 かれのすきと
 わたしのすきで
 あいだに
 隙間があって
 埋まらない距離が

 切なくて
 愛しくて
 ある時もう必要じゃなくて

 かれの周りをウロウロ回るも
 衛星よろしく
 距離は残って

 ほんとうの気持ちも
 取り繕った気持ちも
 まぜこぜで

 かれの幸せを願いつつ
 わたしが幸せでないので
 冷静になれません

 かれが振り向く瞬間を夢みて
 次の地平へ歩くまでの距離は
 考えると夢が萎んでしまうような

 わたしは その寸前で いつも金縛りになって

 そして 泣くのです あなたがいなければ苦しくなかったし
 また 嗤います あなたいなければ存在の小ささを意識せずに済んだから

 べつの瞬間
 
 振り向かないかれから
 独立の思いが沸き立ち

 かれを葬る呪文を思いつきました

 わたしのこころのこころのこころのそこから
 わたしのこころのこころのこころのそこから
 いなくなれと

 しかし かれはなんともなく
 むしろ 楽しそうに朗らかに

 わたしは 毎日怒りを膨らませ
 わたしは 日ごとに悲しくて

 この気持ちで復讐することにしたのです

 すると 不思議にわくわくし
 悲しい気持ちが消えました
 復讐できるような わたしは 弱くないからです
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by madozukin | 2015-08-31 12:00 |
 あなたがまだ
 でたらめで
 ようきな
 たのしいこどもだった頃
 
 原っぱには
 無限があるようで
 無限の原っぱの端からおっこちないように
 見守っているひとがいたのは内緒

 心配は一枚多い上着
 過保護は晴れの日の長靴

 力いっぱい駆け込んで
 じぶんを嫌いになる前に泣いている
 友達を憎む前に叩いている
 くたびれて何となく仲直りする
 空を押し上げる笑うちから

 秘密の話しがある
 ウソの話しもある

 原っぱな端っこで見守っているひとがいて
 それはどうやらクマでなく
 シカでなく

 落っこちそうなると
 ヒョイとつまみ上げて
 原っぱの上に戻してくれる
 
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by madozukin | 2015-07-29 15:41 |
 あなたはうぬぼれるべきなんだ

 何に対して

 あなたはじぶんをうけいれるべきなんだ

 わたしはとても醜い

 あなたはじぶんを好きになっていい

 わたしは嫌われている

 あなたは負債を払わなくていい

 わたしには著しく欠けたところがある

 おしゃれをして
 美しさを信じて
 世の中の半分くらいは味方するから
 自分の個性にそうびっくりしてはいけない

 魔法使いのオバサン(別の時にはおばあさん)は そう言ってから シンデレラを舞踏会へ送り出しました
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by madozukin | 2015-07-10 01:38 |
 しんげつのよるに
 みんないるし
 みんないないのだった

 ふかい ふかい 底の見えない
 しんげつのよるに
 みんないるし
 みんないない
 
 しんげつのよる
 赤いちょうちんを一つともし
 とおくにいる
 あなたに振ってみせる

 すると
 はるかなとおく山際に
 白いちょうちんがひとつだけ
 上下に揺れる

 しんげるのよるに
 わたしの胸の奥から
 繭をやぶって飛び出した蛾が
 ひらひらと
 鼻先もみえない闇をよぎる

 届くかもしれない
 届かないかもしれない
 心もとない手紙二通

 しんげつのよるに
 あなたではないわたし
 わたしではないあなた

 すれちがって
 交わることなく
 あちらがわへとわたる
(こちらがわにやって来る)

 みんないるし
 みんないない
 ちょうどいま
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by madozukin | 2014-12-22 23:01 |
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*絵は詩の内容とは関係ありません。冬のオリンピック競技でフィギュアスケートがいちばん好きです。

 
 あなたの言う 正しさと
 わたしの願う 正しさが
 どうやら
 剣のように
 カチカチと
 ぶつかり続ける

 あなたの願う 真実と
 わたしが感じる それは
 同じでなくてならないことが
 もう諸刃の剣で

 わたしたちは
 否 わたしは あなたに
 とどめのように残酷に勝ち誇らずにいられない

 勝ち負けではないと
 あなたが言い
 勝ち負けだと
 わたしが宣告する
 
 不毛なゲームを
 わたしたちは
 飽くことなく繰り返している

 どんなに正しいか説いても
 力を合わせることを決してしないのは
 わたしも 
 あなたも
 ずるく よわく あつかましく

 相手をコントロールすることばかり願ってる
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by madozukin | 2014-02-15 23:00 |
  どうしても正義の証明をしたいのなら
  かなりいかがわしいプロレスをやるといい
  自分だけが
  決して傷付かないよう試合を組んで
  子どものように
  無邪気と残酷で追い詰めて苦しめて
  あとから慌てて
  我に返って
  大人のふりをするのは禁止だよ

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 *画像は、新キャラのつもりなんだけど、カバイイちゃんっぽいのです、何だか。区別はいるのだろうか?作者も考え中。
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by madozukin | 2013-12-19 02:32 |
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 きのう すこし 泣きたくて
 コドモのように まるく 口を開けてあーんと言った

 きょうは  やや もどってきて
 阿呆のように まるく あははと笑う

 ちいさいまる
 おおきいまる
 ちゅうぐらいのまるを

 コロコロコロと転がして
 とげとげにすこしだけ角度をつける

 あなたは 泣く
 わたしも 泣く
 口をあーんとあけて

 あなたは 笑う
 わたしも 笑う
 忘れたように あるいは忘れてしまって 笑う

 コロコロコロと転がして
 楽器のように
 おんがくのように
 その時のまるが
 転がっていく

 きのう そのとき 泣きたい気分で
 きょうは 手放して あははと笑って
 
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by madozukin | 2013-11-21 10:30 |
女の子と毛虫はよく似ている
わたしが好きで
わたしから脱出できない苦しみは
年を経た男の子をうっとりさせるだろう

女の子は
信じられないかもしれないが
蝶になることをとても恐れている
不安な毛虫

不安なとげを
年を経た男の子に
まぶしく
羨ましくもあり

彼女のとげとげしさ
彼にとっての
まだ去勢される前の
醜くうつくしいじぶんのように愛おしく

ふりふりフリルの向こう側に
年を経た男の子の夢が
ふりふりフリルくるまれて
賞味期限なぞを教えてくれる
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by madozukin | 2012-11-08 11:43 |
 プクプクプク 
 うちの洗濯機は前衛的な二層式で
 隣は最先端の一層式だ
 その音声を知らないわたしは
 亀かカッパの泡を想像して
 プクプクプク
 役に立たなくて幸せなものをおもう
 プクプクプク
 プクプクプク
 そして、それだけ 
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by madozukin | 2012-10-23 17:36 |
 ことばを放棄する練習をしている。すべて無効になってしまった。丸裸だ。だから、イラクサの上着でも編まねばならない。そんなところだ。

 原発事故は理由になるだろうか。なるかもしれないし、ならないかもしれない。どちらにせよ時間は戻せない。リセットが効かない。そのことだけは明らかになって、時間が、コツコツコツとすすむ。まだ生きている。

 ただしさ、公平さ、秩序、それから電気。そう言うものは、安定すればこそ、維持できたシステムである。ただしさ、公平、秩序それから電気が失われ、まっぷたつである。ひとりの人間も社会も。何が悪い、何も悪くない。

 ひとの顔が醜い。自分の顔が醜い。それで。

 説法師が増えた。ニュースではない。統計でもなく、まさしくトラウマ回避の如く、細心の注意を払って。そう、回避だ。傷付かない人間は年を取らないだろう。いつまでも。

 想像してみる。想像できない人間は集まって嘆き悲しむ。どんなにかなしいかという娯楽だ。だから、わたしは悪い人間ではないと思える。そう、平凡な人間だ。

 イラクサの上着は、一人になって、内側に降りていくために。年を取り、何かを失い、それから自由になるために。罪状は、たぶん、いっしょになって嘆き悲しまないこと。弾劾を経て、その自由がやってくる。よろよろとやっと。
 
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by madozukin | 2012-10-18 09:27 |