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 セルゲイ・パラジャーノフ監督の「火の馬」を観る。この人のテーマは、人の一生らしい。その土地に根ざした叙事詩というか独特の文脈がある。「ざくろの色」のときは難解すぎて何度も眠気に襲われた。

 どうしようもないことは、民話のせかいの中では、神さまか悪魔のところへ持ってこられる。神さまは、結婚や死や祈りを司り、悪魔は、不貞や裏切り、忘れがたい過去の記憶の中で巣くう。子どもはいつも未来で、恋は予感で始まり、結婚は現実的な落とし前である。そして、落ち着いたはずなのに、なぜか感情が彷徨い出す。

 死に瀕して思い出すのは、若いときのじぶん。

 電車に座っていると、女子学生が「どうアプローチしたらいいか分からん」と言っている。もう一人が「したじき落とせばいいじゃん」などと返事をする。ハンカチよりドライな感じ。すると、別の一人が「帰るとき、どう断ったらいいのか」と訊いている。すかさず四人目が「観たいドラマがあると言えばいいよ」とアドバイスしている。岡崎京子の「リバーズ・エッジ」にそんなシーンがあったな。

 少年の初恋の人は、羊を助けようと、谷に落ちて死ぬ。彼は、ずっと忘れずことが出来ず、それが結婚に深い影を落とした。
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by madozukin | 2009-09-29 01:04 | 映画
 その少年が、おかあさんに一番に言いたいことは、「坊主頭にしたい」だった。それだけ聴くと???である。「ようこそ先輩」の中の一場面である。その回、誰が先生だったのかは忘れた。

 おかあさんの言い分はこうである。坊主頭はダサイ。確かにそうなんだが、それだけでなかったようなのは、あとで、その少年が先生と面談したときの泪が物語っていた。おかあさんは、いつも頭ごなし。カメラが入ったので、おかあさんは反対しながらもしゃべってくれたが、いつもはまるで取り合ってくれないらしい。泪ははらはらとこぼれた。

 「坊主頭にしたい」は、おかあさんの嫌がることで注意を惹こうとしていたのだ。おかあさんは、いつも勝手に決めるから。正しいかどうかではなく、もやもやした、言葉にならないコトバ。

 強引にまとめると何か大事なところが壊れてしまう。辛抱強く育むこと。人の優れた判断は、じぶんにとって大事な部分と一致しない。
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by madozukin | 2009-09-25 00:50 | コトバ
 ねぇ ほんとうはうそをついていました
 えぇ あなたにほんとうのことをはなしことはありません

 あなたの のぞみのままに おうむがえし
 しゃべってみただけ

 わたしは空気人形です
 からくり からくさ
 いらくさ いらいら
 
 わたしの編んだ嘘が
 あなたのお気に入り

 しんじつなんて
 ジャムにしぼって入れた
 レモンほど 
 あなたの理想はそういうものです

 いまになって
 告白するのは
 むしろ不実というものですが

 あなたの困惑が
 わたしにとっての誘惑
 なんて不幸なふたりでしょう

 からくり からくさ
 いらいら いらくさ
 わたしは空気人形です
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by madozukin | 2009-09-24 02:11 |
 「地下鉄のザジ」を見ました。口癖がケツ食らえで、臙脂のタートルネックが可愛くて味噌っ歯、田舎から来たのでメトロに憧れています。おかあさんは、恋人に会うためにパリへ出てきて、その間姉弟であるおじさんの家に預けられるます。もちろん、いい子になんてしていません。おかあさんには多少聞き分けがよさそうですが、ザジにはザジの野望があるのだから。

 もっと込み入った話かと思えば、当時のパリの風俗と、何に喩えればいいのでしょう。わたしは、大和和紀さんの「はいからさんが通る」を思い出したのです。ザジ本人の恋こそ出てきませんが、ナチスの台頭が終わって、アメリカ軍が進駐してきていて、払い下げのジーンズを手に入れたザジの得意なこと。ストのため、パリの街は渋滞してタクシーを拾うのも大変なのですが、ヘンな大人を巻き込んでザジは彼女の世界を楽しみ、ヘンな大人はヘンな大人で勝手に暴走します。

 あっという間に時間は過ぎ、ママはさっさと逢瀬をすませ、疲れて眠りこけたザジは地下鉄が動いたのにも気づきません。待ち合わせの駅に送り届けられます。

 さて、この映画を見ていて、ぼんやり思ったのはオシャレって何だろうでした。ザジの履いていた膝小僧の出るプリーツスカート可愛かったけれど、ザジが憧れるのは、履き慣れたそれではありません。おじさんは、オシャレにすごく気を遣って生きていて、奥さんはどびきりの美人、それはもう嗜癖の範疇で他人とは関係ないものでした。たぶん。
 
 憧れはいつも片思いです。オシャレとは、エゴが屹立していて揺るがないことかしら。だから、どうなるものでもなく、それはそれなんでした。
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by madozukin | 2009-09-19 22:09 | メモ
 あなたが
 まほうをかけたので
 まだ
 僕は 森から出る道をえらべないでいる

 あなたは
 まほうを解くこともできるのに
 もう
 僕が 役立つことも尽きてしまった

 あなたは
 本当は知っていて
 知らないふりをつづけてる

 森の境には
 地中深く
 埋められた鏡がいくもあって

 あなたの森を守っている
 この世でいちばん美しくあるために
 流した血が籠められて

 鏡よ鏡
 世界でいちばん美しいものが
 統べる

 鏡よ鏡
 わたし以外のだれも
 物語を持つことを許さぬ

 そして 森は 閉じたまま

 僕が
 あやまって
 そのうちの一枚を割ってしまったのは昨日のことです

 鏡は
 赤い血を流して
 ふたつに割れました

 鏡よ鏡
 世界でいちばん美しくなくとも
 僕はここを出ます

 鏡よ鏡
 僕を含むあらゆる存在をゆるす
 物語を書きたいのです   
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by madozukin | 2009-09-12 03:31 |
 孤独が分からない人の、ものの考え方は、そんなつもりはなくても徒党である。一人にならないよう涙ぐましい策略を巡らして、しかしながら、没個性であると感じることは息が止まりそうに辛い。という理由で友だちを作ると、必然的にギクシャクするのは、足を踏んだとか踏まなかったことが問題になるから。そうやって、切磋琢磨を避ける。

 根本的なところでじぶんがショックを受けないように。

 他人がやっていると、なるほどと検算できるのに、じぶんがやっている最中はなかなか止まらない。苦しかった時間が終わって、気がついたら、あの中に居続けたら絶対思い切れなかった選択をしている。今頃になって、どきどき。でも後戻りしてはだめ。
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by madozukin | 2009-09-07 00:38 | メモ
 のセットを作ることになりました。アイディアを練っています。ただの商品じゃなくて、コストも考慮しつつ、それを見た人にとことん楽しんで欲しい。何かおもしろいことが始まる前兆のようなもの。売れればシリーズ化も狙いたいと思っています。

 今日は、そのための布地を買ってきました。先日東京で見て来た、メアリー・ブレアの描いた絵を思わせる、布地を見つけました。ラッキー。デザインは出来ているので、明日から制作開始です。

 大きいことを決めると、その反動で大体とても大きな落ち込みが来るのですが、ラットウインプスのPVを見て泣き止みました。何をやっているのだろうね。わたしが粉々に砕きたいのは、人ではなく、そういう漠然とした制限みたいなものだと分かってきました。
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by madozukin | 2009-09-03 00:51 | 制作日誌