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マンガと詩


by madozukin
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夢二

 夢二を見るというので、大きなポンポンのついた白いベレーに赤いコート、ポケットの形で立体的に見えるグレーのスカートを掃いて洒落たのだ。その日、京都市内四条辺りは、泣きたいほど寒く、びっこを退かないと歩けないしもやけが出来ていた。しくしく。

 挿絵からスタートしただけあって、装丁に関するアイディアは天才的で、閃きの人だ。引き算が非常に上手く、描くスピードもさぞかし速かったろうと思われる。写生をすると分かるが、ふつうの人がモノの形に囚われ易いのに反して、夢二はニュアンスを引き出すセンスに抜群に長けていた。雑に描いているようで、彼自身の感じたエッセンスを自在に表現できたのだ。

 彼の理想の女性像は、夢二の愛した女性たちというより彼自身の投影であった。ただ恋愛にうつつを抜かした人には見えない。彼は、誰よりも彼自身に興味があった。現実には現実の生活があり、それとは別に、絵のためには何一つ惜しまないエゴイストなのだ。おそらくは。
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by madozukin | 2010-01-19 03:17 | 展示を見る